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宿題をしよう! 1-(3) 「人の声に近い」って、そんなにいいこと?



先の記事でも書きましたが、
「人の声に最も近い楽器」で検索をかけると、
沢山の楽器がみつかります。

フルート、サックス、クラリネット、ファゴット、トロンボーン
ホルン、トランペット、ヴァイオリン、チェロ、ユーホニウム
オルガン、ビオラ、ハーモニカ、 などなど・・

(なお、私の考える「最も近い」については、 先の記事で書きました。)

これだけ多くの楽器が、
「我こそは!」と主張しているということは、
「人の声に近い」ということが、
その楽器のアピール・ポイントになる、
ということですよね。

では、
それはそんなにいいことなのか?
というのが本日のお題です。


このテーマを考え始めたとき、
すぐに思い浮かんだのが、

「そんなに人の声が良いのなら、
そもそも楽器を弾かず、歌えばいいのでは?」

というもの。

だって、
「人の声に最も近い」のは、
「人の声」そのものに決まってます。

人に備わっている「声」ではなく、
わざわざ楽器を使って演奏するということは、
人の声とは違う音が欲しい、
ということですよね。

ヴァイオリンはヴァイオリンの、
フルートはフルートの、
それぞれの音色が、その楽器の魅力。

だとすると、
「人の声に近い」ことは、
その楽器の特徴のひとつであっても、
少なくとも、目的ではありません。


にも関わらず、
「人の声に近い」ことが、
色々な楽器において、
アピールされています。

ということは、
「人の声に近い」楽器には、
やっぱり何かいいことがある、
あるいは、
いいことがありそうな気がする、
はずです。

そこで考えてみました。

まず思いついたのは、身近さ。

声は人体に備わっていますし、
多くの人にとって、
奏でるにしても、聞くにしても、
「歌」は最も身近な「音楽」です。

「聞く」ほうからいくと、
CD等の売り上げは圧倒的に、
「器楽」よりも「歌」が多いはず。
多くのCD店の店頭で、
器楽の占める割合はすごーく小さい。

100円ショップで売ってるCDなど、
わざわざ「歌なし・演奏のみ」と
注意書きがあるくらいです(笑)


また、
「奏でる」ほうでは、
「楽器をしたことはない」という人でも、
たいていの方は、
歌を歌ったことはあるでしょうし、
カラオケは簡易で身近な娯楽として、
世界各地で楽しまれています。
それに比べて、
楽器をする人はずっと少ない。

おそらく読者の皆様も経験されていることと思いますが、
「楽器を習っている」
ということを話すと、
「いいですねぇ、私はそういうのは全然ダメで…」
という反応がよくあります。

さらに、
ピアノ以外のクラシック音楽の楽器となると、
そのお稽古人口はそうとう小さなものでしょう。

「~楽器店」は日本中にたくさんありますが、
その売場のほとんどは、
鍵盤とギターで占められているように思います。

それだけ、多くの人にとって、
クラシック音楽の「楽器」というのは、
聞くにしても、
奏でるにしても、
「なんとなく縁遠いモノ」と、
思われているようです。


ともあれ。

縁遠いと思っていようといなかろうと、
「声に近い」という文句は、
その楽器の印象を身近に感じさせる効果が、
あるのかもしれませんね。


もうひとつは、
より機能的な側面です。

ここで、

「声は理想的な楽器である」

と仮定しましょう。

これは、
そういう文言をどこかで聞いた記憶があるだけで、
私にはよくわかりませんし、知りません。
ですのであくまで仮説です。

人体を楽器としてみると、
生まれながらに規定されている反面、
全ての部分を意思で直接コントロール出来る、
ともいえます。

そのおかげで、
訓練を積んだ声楽家の方ならば、
自在かつ繊細な、
音色、音量、音高さのコントロールが、
可能なのかもしれません。
これは楽器の機能として、
理想的かもしれません。

なのだとすると、
多くの楽器制作者、
あるいは器楽奏者が、
「人の声」のような、
表現力を目指す可能性があります。

そのために、
「人の声に近い」ことが、
アピールポイントになる、のではなかろうか、と。


以上、
「人の声に近い」のはそんなにいいことか?
について、

・少なくとも楽器の目的ではないはず

ですが、

・多くの人にとって、「歌」は器楽よりも身近
・声楽は理想的な楽器かもしれない

ために、

「人の声に近い」がアピールポイントになるのかも、

と考えます。

なお、
アマチュア器楽奏者の私としては、
最初に書きました理由、
「だったら歌えばいいじゃない?」
によって、
「人の声に近い」というアピールは、
あまりピンと来ないです。




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ふぅ。
これで宿題のひとつめが終わりました。
二つ目はなんだったっけ・・・
あ、「チェロの形は女性の体系を模したもの」ですね。
これは今回よりは簡単そうだ。
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宿題をしよう! 1-(2) チェロは「人の声に最も近い」楽器?


先の記事で、

チェロの素晴らしい音色。
その魅力を表現するのに、
「最も人の声に近い楽器」
といわれることがしばしばあります。



としましたが、しかし、
これについて私にはちょっと違うのでは?
と思われる、ということを書きました。

そして、そのことを考えるために、
前回の記事では、

(1) 「人の声に近い」って?

と題しまして、
ある楽器が「人の声に近い」ための基準を考えました。

それは、
 客観的には、
  音色・・・単音を聞いたときに人の声(歌声)と似ている
  音域・・・音域が人の声と沢山重なる
  ニュアンス・・・音量、音高の調整が自由に出来る
 主観的には、
  聞いて声と間違えるかどうか?
でした。

このような基準を決めたところで、
では、
果たしてチェロは、
「最も人の声に近い楽器」
なのでしょうか?

と、その前に。

私はチェロを弾き、またよく聞きますので、
チェロについて「最も人の声に近い」という表現を、
目にすることがあります。

しかし、他の楽器ではどうでしょう?

というのも、
先の記事を読んだ、
オーボエ吹きの知人がですねぇ、

「あれ、一番人の声に近いのはオーボエじゃないの?」

というのですよ!

む。

また、
ヴァイオリンについても、
同様に書かれているのを見たことあります。

こうなったらやることは一つです。

こちらをご覧ください!
Google検索「人の声に最も近い楽器


検索結果に登場する楽器は、

フルート
サックス
クラリネット
ファゴット
トロンボーン
ホルン
トランペット
ヴァイオリン
チェロ
ユーホニウム
オルガン
ビオラ
ハーモニカ
 などなど・・・


どの楽器の奏者も、
「我こそは最も人の声に近い楽器なり!」
というわけですね(笑)

(そうすると、なんでそもそも「人の声に近い」のが、
そんなにアピールになるのか?という疑問が沸きますが、
これは次の記事のネタなので、ここでは気にしないで下さい:笑)

この百家争鳴状態が気になる方は、
私だけではないようで、
いきなり上位に当記事と同趣旨の掲示板があらわれますし、
(記事にはアクセスできませんが、キャッシュが残っています)

また、ほぼ同じ問題意識の記事を書かれているブロガーさんも,
いらっしゃいました。(こちら)


しかし、
本記事は、
「この論争に終止符を打つ!」
ということを目的にはしておりません

いえ、
私なりに「人の声に近い」の基準を考えて、
それに沿って判定しようとは思っています。

しかし、
広大なインターネットの片隅にある、
1日数10アクセスの、
ましてや音楽や音声学の専門家でもない、
いちアマチュアチェロ奏者の結論が、
説得力をもって業界に受け入れられるとは思えません。

それに、
これだけ色々な楽器が「我こそは最も!」と言っている、
ということは、
この「最も」には、実はあまり意味がない(笑)。

つまり、
「ありとあらゆる楽器の中で、この楽器が一番だぞ!」
といっているのではなく、
「この楽器って、けっこう人の声と似てるよね?」
という程度の意味ではないだろうか、と。

さて。
ようやく本題に入ります。


色々な楽器を、
上記の基準から判定していきましょう。
果たしてチェロは、
「最も人の声に近い楽器」なのか?

職業柄、いつものように理詰めです(笑)


まず客観的な基準から。

  音色・・・単音を聞いたときに人の声(歌声)と似ている
  音域・・・音域が人の声と沢山重なる
  ニュアンス・・・音量、音高の調整が自由に出来る


i) 音色

最初の「音色」について。
これは音量や音高を変化させない、
ただの一音です。

この時点で、
 ・打楽器は全て脱落
 ・ピアノもこの意味では打楽器と同じで脱落
 ・撥弦楽器も全て脱落
   (チェンバロ、ハープ、ギター、リュート、三味線など)

さすがにこれらの楽器は、
「我こそは!」の検索結果には、
上位には登場しませんでしたね。良かった(笑)

で、ここで、私としては、
 ・音色が澄んでいるフルート (と、ピッコロ)
も、選から漏れてしまいます。

たしかに、ソプラノの超高音なんかだと、
フルートの澄んだ音に似てるようにも思います。

しかしこれは、
「フルートがソプラノに似ている」のではなく、
「ソプラノがフルートに似ている」といったほうが適切でしょう。
その他の音域では、
フルートの音色はあまりにも澄んでいて、
(もちろん、それはフルートの魅力ですが!)
人の声には似ていないように思われます。
同様の理由で、リコーダーやオカリーナ、篠笛、サンポーニャも落選。

ここまでで選に残っているのは、
 ・ヴァイオリン族などの擦弦楽器
 ・金管楽器
 ・リードを使う木管楽器
 ・リードを使わない木管楽器ではケーナ、尺八など
 ・オルガン
といったところですね。

また、上記の検索結果の中では、
「発音の仕組みが人の声と似ている」
ことをもって、
「管楽器が人の声に近い」
その中でも、
「二枚のリードを使うオーボエ、ファゴット」
「唇がリードになる金管楽器」
を推すご意見がありました。

なるほど、
確かに人の声というのは、
ホーミーのような特殊な例を除けば、
声帯の中にある「二枚のリード」を、
呼気によって振動させ、
それを管(=声帯~口腔・鼻腔)で共鳴させることで、
発音します。

ですが、
「仕組みが似ている」ことと、
「その楽器の音が似ている」こととは、
必ずしも一致しません。
つまり、
仕組みが何であれ、
出てきた音が人の声に似ていれば良いのです。

例は簡単です。

録音した人の声を、スピーカーから聞くとき。

スピーカーの発音の仕組みは、
人体のそれとは全く違いますが、
ちゃんと人の声に聞こえますよね。
ということは、
仕組みが近い、というのは、
少なくとも、必要条件ではないはずです。



ii)音域

人の声と音域が重なる楽器が、
ここでいう「人の声に近い楽器」ということに。

しかし、楽器の中には、
人の声よりも低い音から、
それよりもずっと高い音まで、
出せる楽器があったりします。
オルガンやピアノがそうですね。
こういう楽器は、ここでは保留にしましょう。

音域の比較に便利な表が、
Wikipedia英語版の"Range(music)"にありました。

表はこちら。
tikai.jpg


これを使って、
ここまで選に残っている楽器を比べてみましょう。

まずは擦弦楽器。
赤線が「human voice」の範囲です。

strings.jpg

コントラバスは低すぎ、
ヴァイオリンは高すぎ。

チェロは高音がわずかに足りず、
ヴィオラは低音がわずかに足りませんね。
というわけで、
擦弦楽器の中ではチェロかヴィオラ。


次はリードのある木管楽器です。
wind.jpg

ダブルリードの中では、
 コールアングレ(=イングリッシュホルン)か、
 バスーン(=ファゴット)
が近いですね。

シングルリードでは、
 テナーサックス
 アルトサックス
がすっぽりですが、
意外にも、
 バスクラリネット
が、相当重なります。
こんなに音域広いんだ・・・


金管楽器。
brass.jpg
(ユーフォニウム、ありませんね・・・)

トロンボーン&ホルンは上が足りず、
トランペット&コルネットは下が足りません。
が、カバー率でいうなれば、
ホルンが最も高く、
次がトロンボーンのようです。


というわけでまとめると、
 擦弦楽器・・・ヴィオラ、チェロ
 木管楽器・・・アングレ、バスーン、アルト&テナーサックス、バスクラ
 金管楽器・・・ホルン、トロンボーン   
が、
 「人の声に近い音域を持っている」
といえそうです。

そうそう、擦弦楽器には、ヴァイオリン族以外の楽器もあります。
日本で有名なのは「二胡」でしょうか。
しかし、こちらのサイトによれば、
その音域はヴァイオリンより下が狭い、
ということで音域はあまり重なりません。



iii)ニュアンス

音量と音高。

音量が自由かどうか、というと、
ここまで残った楽器は、ほとんど自由です。
もちろん奏者の技量によりますが、
かなりの幅があり、かつ、
繊細なコントロールが可能です。
しかし、残念ながらオルガンは落選。

音高が自由かどうか、というと、
あら、ほとんどの管楽器が落選してしまいました。
残ったのはトロンボーンだけ。

ヴァイオリン族の擦弦楽器はみんなセーフ。
(フレットのある「アルペジオーネ」は落選ですね:笑)


ここまでの結果をまとめましょう。

「音色、音域、ニュアンス」によって、
どんどん振り落としてきた結果、
「人の声に最も近い楽器」の候補として残ったのは、
次の三つになりました。

・ヴィオラ
・チェロ
・トロンボーン



さて次は主観的基準です。

「聞いて声と間違えるかどうか?」

これは文字通り「主観的」な基準です。

ですので、
みなさんの経験もお聞かせいただけると、
とても嬉しいのですが、
ひとまず、これまでの私の経験で、
声と間違えたことがある楽器は、
3つあります。

・二胡
・ヴァイオリン
・オーボエ

あれ。

先に落選した楽器ですね、全部(笑)

そしてこの中でも、
一番派手に「間違えた」のは、二胡です。
ラジオから聞こえてきた音楽を聴いて、
「ヴォカリーズ」のような、
母音唱法の歌声だと思っていたのです。
そしたら曲のあとのお話で、
それは二胡だと分かった。


困った。

客観的基準と、主観的基準とが、
かみ合わなくなってしまいました。

ですが、
「人の声に近い」楽器、という場合、
その楽器が奏でられるのを聞いて、
それを「人の声と間違えた」というほど、
強力な基準はない、と思うのですね。

客観的基準からは、
・こういう要素をもった楽器が、人の声に近い
ということが言えそうですが、

主観的基準からは、
・この楽器は(要素はともかく)人の声に似てた!
ということがいえます。


では結論です。
前半の議論も尊重しつつ、まとめます。


Q. 
チェロは「人の声に最も近い楽器」か?

A. 
ちがう。様々な楽器の中では、比較的、
「人の声に近い」グループに入るが、
「最も近い」のは二胡である。





ご参考までに、二胡の動画をひとつ。
Youtubeには沢山の二胡の動画がありますが、
この曲、好きなので。
もっとも、この演奏を声と「間違える」かというと、
若干疑問ですが・・・(笑)




(余談をひとつ。ゲド戦記の映画は、
 原作者には非常に不評だったようなのですが、
 その中でも数少ない、「良かった」ことが、
 この曲だったそうです。)


ふぅ。
この記事書くのに半日かかってしまいました。
せっかくの休日を練習もせずに・・・
これだからアマチュアチェロ弾きはなかなか上達しないのです(笑)

次は、
(3)それってそんなにいいこと?
です。 


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宿題をしよう! 1 -(1) 「人の声に近い」って?

みなさんこんにちは。

先日の記事で自分に沢山宿題を出しておきながら、
一週間、放置してしまいました。
これから課題(?)をこなしていきますね。

宿題は三つでした。

1.「人の声に近い楽器」?
2.チェロの形は女性の体型を模したもの?
3.男性的・女性的・中性的なチェロ


本日は一つ目、「人の声に近い楽器」です。


チェロの音色の魅力について、
「人の声に最も近い楽器」
という表現が使われることがあります。

これは本当にそうだろうか?
というのが課題なのですが、
ちょっと調べたり考えたりしていると、
だんだん長くなってしまいましたので、
これもまた、次の三つに分けることにしました。


(1)「人の声に近い」って?
(2) チェロは「人の声に最も近い」楽器?
(3) それってそんなにいいこと?


考え出すと、
考えとかなきゃいけないことが、
沢山みつかっちゃうんです(笑)


で、今日はその一番目。
ようやくここから本題です。



(1)「人の声に近い」って?

そもそも人の声に近いって、
どういうことでしょう?

関連しそうなこととして、
少なくとも、次の三つの要素があります。

・音色 (周波数特性)
・音域 (高さ)
・ニュアンス (ディナーミク、音高の変化)

まず、「音色」。

ひとつの音をただ鳴らしたとしましょう。

ピアノなら、鍵盤をポン、と叩く。(そして指を離さない)
管楽器なら、ただのロングトーン。
擦弦楽器なら、全弓で全音符をゆっくりと。
撥弦楽器なら、一音、弾く。
打楽器なら、ただ、一発、叩く。

このときの音が、
狭い意味での、
その楽器の『音色」ということにします。

これが人の声にどれだけにているか?
ということになりますね。
また、ここで問題にしているのは楽器ですから、
ここでいう「人の声」とは、
「歌声」に限ってもいいでしょう。

なお、「歌声」といっても、
小学生の合唱と、
ソリストの歌うアリアと、
民謡とでは、
それぞれかなり違いますが、
楽器の音色の違いに比べれば、
その差は小さいように私には感じられますので、
問題にしないことにします。

また、この問題につて、
物理学・工学の言葉を使うと、
「周波数特性」を比較するということになります。
これを使えば、かなり客観的に議論できるはずです。
しかし、読者の方には、
物理学・数学にアレルギーのある方も
いらっしゃるかもしれませんし、
何よりも、私が馬脚を現したくありませんので(笑)、
ここでは回避します。



次に、「音域」。
これは簡単ですね。
人の声の音域というのは、
よほど訓練を積んだ歌手でない限り、
かなり限られています。

その楽器の音域が、
どれだけ「人の声」と重なるか。

コントラバスの最低音や、
ヴァイオリンの高音などは、
普通の「人の声」の音域からは、
外れているでしょう。

いや、中には8オクターブでる人とか、
信じられない高音が出る歌手の方も、
いらっしゃるのは知っています。
でも、
そういう歌手の存在を知ったときの私達の反応は、
「人間業とは思えない!」ですよね?
だとすると、
ここでの課題、「人の声に近い」に照らすと、
それは、
「人の声」っぽくない、と私達は感じる、ということ。
ですので、そもそも、そういう発声は、
議論から除外することが出来ます。


最後に、「ニュアンス」。

音量の大小のつけ方や、
音高の変化のさせ方は、
楽器によって違いますよね。

たとえば、チェンバロやオルガンは、
あまり音量の大小の幅がないように思われます。
この点でピアノは、その名前からしても、
大小の差をつけやすい楽器ですね。
しかし、ピアノの場合、
一音の中でクレッシェンドが出来ませんし、
ディミヌエンドにしても、
そのコントロールは非常に難しいようです。
この点で管楽器は、
フレーズでも、一音の中でも、
様々な音量のコントロールが可能です。
弦楽器でももちろん可能ですが、
管楽器に比べると技術的には少し難しいように、
私には感じられます。
なお当然ながら人の声は、
音量の差をつけることが出来ます。簡単に。

また、音高についていうと、
鍵盤楽器や、多くの管楽器は、
音の高さを連続的に変化させることが出来ません。

どういうことかといいますと、
たいていの鍵盤楽器・管楽器では、
ドとレの間には一つだけ、
ド#とレbを兼用する音があるだけです。

ですが、
ドとレの間には無限の中間の音があります。
ヴァイオリン族の楽器は、
これを全て出すことが出来ますね。
トロンボーンも見るからに出来そうです。

ポルタメントが自由自在、ということです。
他の管楽器でも奏法によって、
音高を微妙にコントロールできるそうですが、
自由自在に、とはいきますまい。
もちろん、人の声もそうです。

とはいっても、
「人の声のような、音量・音高の変化」というのは、
楽器がこれだから・・・というよりも、
奏者がそういうニュアンスをつけて演奏できるかどうか、
だと思うのです。
なのでここでいう、人の声に近い「楽器」の議論とは、
少し違う、「人の声のように奏でることの出来る奏者」に
なってしまう木もするのです。

しかし、
上記のように、機能上の限界のありますことですし、
一応あげておくことにしました。




さて。

・音色
・音域
・ニュアンス
について、「人の声に近い」とは、
どういうことかを考えてみました。

以上の内容からは、

・単音を聞いたときに人の声(歌声)と似ている
・音域が人の声と沢山重なる
・音量、音高の調整が自由に出来る

ということになります。

そして、これらの観点からみて、
最も高い点数をとった楽器が、
「最も人に近い楽器」
ということになるのでしょう。

・・・が。

ごめんなさい。
もうひとつ、基準を付け加えます。
しかも、超主観的で、
にもかかわらず、
おそらく決定的な、
基準です。



それは、

「聞いて声と間違えるかどうか?」

です。

はい。

先に挙げた基準が、
客観的に「人の声への近さ」を測定しよう、
という試みであったのに対して、
こちらは、
主観的に「人の声みたく感じる」のは?
というものです。

いえ、だって、
楽器の魅力としての、「人の声に近い」をいうのなら、
それは、聞き手にとって、そう感じられるんですよね?

そうでなければ、
仮に物理的な特性が「人の声に近い」と判定されたとしても、
私たち、音楽の愛好家にとっては、
あんまり、というか全く、意味ないですよね?


さて、これで基準が出揃いました。

というわけで次回は、
(2)チェロは「最も人の声に近い」楽器?
です。




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最も人に近い楽器? :チェロと人の暗喩について考える

チェロの素晴らしい音色。


その魅力を表現するのに、
「最も人の声に近い楽器」
といわれることがしばしばあります。(*1)


しかし、本日のお題は、

「人の声に近い楽器」ではなく、
「人に近い楽器」です。




チェロは、人に似ている。


まず、形と大きさ。

チェロっていうのは、
だいたいこんな見た目です。


IMG_0874_3.jpg

(相棒のチェロ「ククーロ」です)

ペグボックスとスクロールは「顔」そのもの。
その下にネック=首があり、
肩幅があって、
おなかでいったんくびれた後、
腰で幅が広くなり、
エンドピンという「脚」まで、
ちゃんと着いてます。

もっとも、
「形」だけをみるなら、
ヴァイオリンやビオラも同じような形です。
コントラバスなら脚も伸びますね。

でも、
「大きさ」もいれるなら、
チェロのサイズがいちばん人に近いでしょう。
エンドピンをのばして立てれば、
ちょうど、小柄な大人の女性程度の身長になります。


(ヴァイオリンやヴィオラは小さすぎ。
 コントラバスは・・・あれくらいの身長の人もいますが・・・笑)


うん、やっぱり人に似ている。
これ以上に人の形に近い楽器を、
私は知りません。

また、これに関して、
チェロの形は女性の体型を模したもの、
という説もあるそうです。(*2、*3)



もうひとつの、
チェロが人に似ていると感じる理由は、その弾き方です。

両膝の間にはさみ、両腕で包み込むように構える。
これははもう、「抱っこ」そのものですよね。
また、四点で体に接していますから、
距離が「近い」といえば、これほど「近い」ものはありません。

いえ、もちろん、ほとんど全ての楽器は、
人の体がどこかに触れています。
(例外はテルミン)

管楽器なんて口づけしちゃってますから、
なるほど近いといえば近いのかもしれません。

しかし、
チェロほど「全身べったり」体に近づく楽器は、
やっぱりなかなか見あたらない、
と思うのです。

ギターやリュートも、
「抱える」という意味では体に近いですが、
ネックは体から遠くにいってしまい、
自分の顔の横にスクロールがくるチェロに比べると、
やや、「遠い」ように思われます。
(と、ギターを弾いたこともある私は思います)


また、
チェロには表と裏がありますが、
人に例えるなら、裏は背中。
チェロを弾くとき、
奏者はチェロを後ろから抱えます。

楽器の性別はともかくとして、
見ようによってはeroticですね。

(こういう文脈になると、この続きで書けることや、そういえば、と思い当たることが色々あるのですが、その手の話を好まれない方もありましょうし、また読者さんには10代半ばの方もいらっしゃることですし(笑)、このあたりで止めておくことにします)


形・大きさが人に似ている。
だけでなく、
弾かれるときには人に「近い」場所にあり、
さらにその様子も、人に似ている。


そういう意味で、チェロというのは、
「最も人に近い楽器」ではなかろうか?
と思うのでした。(*4)






*1
「チェロの音色は「最も」人の声に近いだろうか」と考えると、少なくとも音色に関して、実はちょっと異論があるのです・・・が、これはまたいずれ別の記事にて。(宿題1)


*2 
私は、上に書きました通り、チェロは人の形に似ていると思います。また、シルエットの曲線は、どちらかといえば、女性的であるように感じられます。しかし、「チェロと女性の体型は似ている」ということは認めつつも、「チェロの形は女性を模したものである」という説については、それはちょっと違うのではないか?という気がしています。これもまたいずれ別の記事にて。(宿題2)

*3
さらに話をそらしますと、楽器によっても、
女性的な印象を受ける形状・仕上げの楽器
男性的な印象を受ける形状・仕上げの楽器
中性的な印象を受ける形状・仕上げの楽器
があるように思います。
写真を見比べたら楽しそうですが、これもまたいずれ別の記事にて。(宿題3)

*4
ここで取り上げなかった「人」的な要素として、「性格」がありますね。毎日丁寧にならしていると、「喜んで」よく鳴ってくれるとか、逆に、ほったらかしていると「拗ねて」鳴ってくれない、とか。時には「反抗して」弦をゆるめてきたり、といったお話も伺います。ただこういった反応は、大なり小なり多くの楽器に共通のことでしょう。ですので、「あらゆる楽器の中で最も」がテーマの本記事では取り上げませんでした。これについて別の記事は・・・これ以上、宿題を増やさないことにします(笑)


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プロフィール

ククーロ

Author:ククーロ
18歳のときに「チェロを弾こう!」と決め、28歳でようやく始めました(2009年2月)。練習の記録と好きな音楽の紹介をしています。よろしくお願いします。京都在住です。


◆ お気に入りCD ◆

アクアトリニティ
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サイトウ・チェロ・アンサンブル
クレンゲル「讃歌」
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ヨーヨー・マ
ソング・オブ・ジョイアンドピース <歓喜と平和の歌>
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トゥルルス・モルク
ショパン・チェロ曲集
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ウィグモア・ホールライブ
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◆ 愛用スピーカー  ◆
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◆ 愛用の消音器 ◆
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◆ 今弾いてる楽器  ◆
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