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ここはどの指?の初体験: ヘソと運指とおくりびと

前の記事で、
マイスキーの弾く「おくりびと」のテーマ曲を紹介いたしました。

映画の中で、本木さん演じる主人公は、
職を失ったチェリスト、という設定。
故郷に戻って別の仕事を始めるわけですが、
その後もところどころにチェロを弾くシーンが登場します。

中には田んぼのあぜみちで一人、なんてのも。
途中から手と音楽が合わなくなってクラっときたり、
チェロに直射日光はまずいのでは・・・
という要らない心配もしてしまいますが(笑)
山並みと青空のもとでの演奏シーンそのものは大変美しく、
またテーマ曲も弦楽合奏の伴奏つきで、気持ちよく浸れました。

(余談ですが、ロケ地にはそのときのイスがそのまま置いてあるそうです)

さて。

ブログの名前から明らかですが、私は好んでチェロを弾きます。

同映画は素晴らしいと思うのですが、
あまり「流行りもの」は好まないヘソマガリなので、
このテーマ曲を弾くのは、これまでちょっと避けていました。

それには、
チェロを始めたのが、
ちょうど映画が公開されていた頃だったので、
 「10年前からやるって決めてたし。」
 「映画みて急に始めたんじゃないし。」
という妙な(でもよくある:笑)意地を張っていた、
というのもあります。
(チェロを始めたイキサツについてはこちらの記事をどうぞ)

ですが、
映画のサウンド・トラックとは相当異なる、
マイスキーの演奏を聞きまして、
映画から離れても素敵な歌だなあと思いました。

また、聞いたところ、難しい運指はなさそうですし、
高音域もさほど使わなさそうです。
これなら、出来はともかく、自分でも弾けそうです。
曲がったヘソを直しまして、弾いてみることにしました。

早速、楽譜を入手。
@Eliseのダウンロード販売を利用しました)
さてここで問題。
私は曲を聞いても調がわかりません。
ですので、楽譜を見るまでは、
フラットが沢山付いてたらどうしよう?とか心配するのです(笑)

が、

シャープひとつ、ト長調。途中から並行調のホ短調に転調。
うん、これなら弾けそう。ト長調はバッハで散々練習したし。

で一安心です。


さて、入手した楽譜には、
運弓は指示されていましたが、
運指が書かれてありません。

イチから自分で運指を考える?初体験です!

まあやってみよう。
運指を考えながら2時間くらい、弾いてみました。

気づいたこと。

開放弦まわり
・開放弦を使いやすい。DとかAとかよく出てくる
・でも長い音で開放弦だとヴィヴラートかけられない
・ひとつ下の弦を使うにはその前にいる場所が問題になる

弦の選択
・移弦するか、同じ弦でポジションを移動するか
・移弦したほうが音程は安定する
・ポジションを動かしたほうがまとまって聞える。弓も楽なことが多い。

指の選択
・場所によっては、選択肢がけっこうある
・2指が一番力が入るしヴィヴラートもかけやすい
・次の音に動きやすい指をとるか、その音を弾き易い指をとるか

拡張
・拡張でとるか、ポジション移動するか
・それによって前後のつながりが変わる
・すぐに戻るなら拡張?次もあるならシフト?
・そもそも、どこまでのまとまりを同じポジションでとるか

もちろん、
このそれぞれはお互いに関係していますし、
運弓との関係もあります。

高いポジションでは(他の条件が同じなら)駒寄りを弾きますが、
次の動きのために全弓を使っておきたいところでは、
低いポジションで指板よりを弾いたほうが楽、とか。
移弦によって音色が変わるのも、
あまり差ができないように、という運弓の課題ともいえます。

なるほど、
こういう色んな要素を考えて、
そしておそらくならもっともっと色んな要素を考慮に入れて、
先輩方は、
「この曲の、この場所では、どんな運指・運弓で弾くか」を、
考えているわけですね。

私の専門でいくとこれは、
典型的な、
「条件付最適化問題」ですね。

あるいは見方を変えると、
「非線型連立偏微分方程式」でもありますね。

うんうん、好きな種類の問題です。


面白い。



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テーマ : チェロ
ジャンル : 音楽

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No title

運指は奥が深いですね。

誰が弾いてもこうしか考えられない
という所ばかりなら楽ですが
同じオケの曲を弾いても、結構皆
色々な指使いになっていて
とても面白いです。
その人の癖がわかる、というか。

弾き易さや、音色の選択の延長ですが
その曲の雰囲気を出す
という事も考える必要があるんだなと
思ったことがあります。

チャイコのくるみ割から花のワルツを弾いた時
チェロが中間部でメロディーを弾くところ
(220小節)で、A線上で6ポジhから
1ポジhへ移動しました。

移弦だとなんだか音楽が小さくなって
しまいうけれど、同じ弦上の移動だと
音色も統一されるし、動きもダイナミックなので
見た目もカッコイイし(オケでは重要?!)
音が前向きになりました。

・・・難しいけれど、あえて選択する場合も
あるんだと気づきました。

これに弓に関しても加わってくるので弦楽器って
本当に難しいですよね・・・。

楽譜って、言葉のような物語のような
でもとっても数学的?物理的?
なんて、この記事を読ませて貰って感じました。

来週本番で演奏するだったん人は
本能的な感じもします。^^

きち様

はい、色々な選択肢があって大変です。

オケの方の場合、各自でさらって来られる段階では、
運指はそろえておかない、ということでしょうか。
見た目があまりにばらばらだとびっくりしそうですね(笑)

簡単な運指が良い、というわけではないのですね。

そういえば、バッハの無伴奏を練習したとき。
楽譜はジャンドロンを使ったのですが、

・A線のD
・2でとる
・前後は1ポジ

という形がありました。
1ポジのまま4でとれば楽なのに、
何でわざわざ?と思いながら練習していると、
だんだんこっちのほうが自然に感じられてきたのが不思議でした。

音楽は、
芸術としてみると物語や詩のようであったり、
感覚的であったりしますが、
「音」というのは物理現象そのものですし、
物理現象を表現・解明するには数学が役立ちます。

記事中で「連立方程式」とか「最適化問題」と
書きましたのとは、また違った側面ですが、
面白いものです。

このあたりは「理系・文系」について思うこととも関連しますので、
またそのうち記事にしますね。
(ネタ、ありがとうございます!)

No title

私がチェロを始めた頃も、『おくりびと』が有名になっている頃で、
「映画を観て決めたわけじゃない」と思ってましたね(^^;
実際、始めた当時は、映画を観たことも無く。。

でも、映画を観ると、思った以上に感動しましたー。
あのテーマ曲素敵ですよね♪
私もいつかは、弾けるようになりたいです♪

おくりびと、よいですよね

私も過去に映画おくりびとのことを記事にしたことがあります。
チェロ&ピアノの楽譜も持っています♪
一から運指を考えるのって、とっても楽しいですね☆
そして最後の文章らへんは、さすが学位審査後!といったアカデミックな雰囲気が漂ってますね(^^)

ももか様

>「映画を観て決めたわけじゃない」
そう、それ思いますよね!(笑) 同じことを考えている人がいて嬉しいです。あの映画を観てチェロを弾き始めた人、実際のところ、どれくらいいるのかな。

>テーマ曲素敵ですよね♪
そう、それぞれのシーンにもぴったり。ただあまりにもぴったりすぎて、曲と映画が離れません。自分で弾いてても画面が目に浮かびます。

>弾けるようになりたいです♪
お互い頑張りましょう!左手は4ポジ+Aのフラジオまでで、ほとんど弾けるみたいです。(最後の盛り上がりだけ、その先のHまで出てきます。6ポジということになるのかな)

morpheus-cello様

おくりびとの記事、拝見しました!
つられて私も感想を書きました(笑)

運指を考えるのは、発見が沢山あって楽しいです。
これまでに使った楽譜で指示されていた運指が、
「なるほど、こういうわけでこうなってたのか」と、
ちょっとだけわかるようになりました。

アカデミック・・・ほとんど職業病ですが(笑)
音楽、あるいは楽器の演奏は、
物理としてみると明確に説明できる一方で、
その「よさ」の基準が人の感じ方に依存するため、
最適化すべき変数がはっきりしない。
これが音楽の面白さであるように、今は感じています。

自分で運指を考えることは大切ですね

学習者向きの楽譜ですと運指は書いてありますが,チェロの楽譜でも作曲家は運指をつけないので付いていないのが普通ですね。

オーケストラの楽譜には運指はまったく書いていないです。隣で弾く人や後にこの楽譜で弾く人に影響を与えないように本番の楽譜には特別の場合以外は運指は書かないです。

運指をちょっと変えるだけで音楽はずいぶん変わりますし,プロでも同じ曲を同じようには弾いていないことも多いです。自分で考えることは楽しいですね。

ダンベルドア様

コメントありがとうございます。

まったく運指の書いてない楽譜、
あまりにも色々な可能性があって戸惑いましたが、
やってみると面白かったです。

オーケストラの譜面には書きこみもしないとは・・・
弾くたびに違う運指で弾いてしまいそう(笑)
bann2.gif

プロフィール

ククーロ

Author:ククーロ
18歳のときに「チェロを弾こう!」と決め、28歳でようやく始めました(2009年2月)。練習の記録と好きな音楽の紹介をしています。よろしくお願いします。京都在住です。


◆ お気に入りCD ◆

アクアトリニティ
水の薫り
aqua.jpg


サイトウ・チェロ・アンサンブル
クレンゲル「讃歌」
3202110926.jpg


ヨーヨー・マ
ソング・オブ・ジョイアンドピース <歓喜と平和の歌>
masong.jpg


トゥルルス・モルク
ショパン・チェロ曲集
mork.jpg


ミクローシュ・ペレーニ
ウィグモア・ホールライブ
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◆ 愛用スピーカー  ◆
 Timedomain Light
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◆ 愛用の消音器 ◆
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◆ 今弾いてる楽器  ◆
Cao工房 ゴフリラーモデル
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