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晩秋の空に響く凱歌(1): フルニエ ブラームス/チェロソナタ第一番 [チェロCD24]

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本日紹介します演奏は、
 ブラームス チェロ・ソナタ第1番
 チェロ ピエール・フルニエ
 ピアノ ルドルフ・フェルクス
です。


おそらくクラシック音楽ファンの皆様には、
「この季節はこの作曲家を聴きたい」
ですとか、
「この曲ならこの季節に聴きたい」
あるいは、
「冬にはやっぱり北欧音楽でしょう」
といったコダワリをおもちの方もいらっしゃることと思います。

私の場合、
春がくるとモーツァルト、という気分ですし、
シベリウスのヴァイオリン協奏曲は、冬に聴きたいですし、
フランスの作曲家の曲は、秋に聴きたくなることが多いです。

季節、あるいは風土と、
音楽や芸術の関係を考えるとき、
面白いことに気づきます。

たとえば、
寒い国の作曲家の曲には、
たとえばシベリウスのように、
冷たさを感じさせる曲が多かったりします。
また、どちらかといえば暗い国である英国には、
エルガーという作曲家がいますが、
彼も、チェロ協奏曲など、
暗さを感じさせる曲がありますね。

欧州の中では比較的南よりにある、
イタリアやフランス、スペインの音楽には、
どちらかというと明るい曲が多いような気もします。
イタリア・オペラ、
フランスではたとえば、
フォーレのヴァイオリンソナタやラヴェルの音楽などは、
明るく華やかで色彩感にあふれています。

しかし一方で、
典型的な寒い国であるロシアの代表的作曲家、
チャイコフスキーの音楽には、
くるみわり人形のように明るさと色彩感を感じさせるものや、
弦楽四重奏第1番の第2楽章である、
アンダンテ・カンタービレなどは、
これ以上あろうかというほど暖かい音楽であると、
私には感じられます。

寒い気候のもとでは、
「冷たい」印象の音楽がつくられるだけでなく、
「暖かい」印象の名曲も生まれるというのは、
面白いものです。
寒い気候がかえって暖かさを求めさせるのでしょうか。

そういえば、近年よくみかける「北欧デザイン」なるものは、
とても鮮やかな色彩のものが多いですよね。
これも、特に冬は日が短く、また白銀一色になってしまうがゆえに、
身の回りのものを色彩豊かにしたくなるのだろうか、
と仮説をたててみたくもなります。


もちろん、作曲家の生まれ育った地域の風土と、
その作風とを単純に結びつけることは出来ないだろうと思いますが、
季節・風土と作曲家の間には、
上記のように、
何らかの関係を感じずにはいられません。



さて。

本日紹介します演奏は、
私の中では「秋」と決まりきっている作曲家、
ブラームスによるチェロソナタです。

ブラームスには2曲のチェロソナタがありまして、
どちらもいずれ劣らぬ名曲なのですが、
本日はそのうち第一番、短調のほうをご紹介。

秋、という季節に私は、光と影の両方を感じます。

まずは「光」から。
米や果物の収穫期、すなわち「実りの秋」というイメージや、
紅葉で山が赤や黄色に色づく、
あるいは銀杏の落葉で金色の絨毯がしかれる、
空気が澄んで、高く青く抜けるような空、
あるいは中秋の名月など。
唱歌「もみじ」は、まさにこの秋の光を感じさせてくれます。

一方で、
日が短くなっていき、
気温が下がり、
暗い時間が長く、
冷たい長雨が降り、
木は葉を落として寂しい姿になる、
といった、「暗さ」を感じさせる変化もあります。
日本の歌では「小さい秋」でしょうか。

私のこういう秋の感じ方に、
ブラームスの音楽は、とてもしっくりきます。

特にこの短調のチェロソナタは、
前奏なしでいきなりチェロが歌いだす、
つぶやくような、唸るような暗い旋律が、
暗さはそのままにだんだん高揚していき、
ところどころに光が差し込む瞬間があり、
冷たい雲に覆われた秋の寂しさを連想します。

しかし、第三楽章では、
短調で始まりはするものの、
ピアノとチェロが激しく絡んだあとに、
輝かしい旋律をチェロが高らかに歌い上げるところなど、
青空高く音が吸い込まれていくようです。
(ちなみに、この楽章の主題はバッハの音楽からとられているそうです)


本日紹介します演奏は、
往年のフランスの名手、「チェロの貴公子」こと、
ピエール・フルニエのチェロと、
ルドルフ・フェルクスのピアノによるもの。

(フルニエにはバックハウスとの録音もあるそうですが未聴です)

激しい曲ではありますが、
フルニエのチェロは期待にたがわず、
格調高く品位をもって歌い上げています。
フェルクスとのアンサンブルもぴったり。

数多く録音のあるこの曲ですが、
「ブラームスはフルニエでなきゃ!」という方も、
けっこういらっしゃるようで、
私も愛聴盤です。


さて。

秋、秋と連呼しながら、なぜ真冬の今頃にこれを・・・?
と疑問に思った方もいらっしゃるかもしれません。
私としても秋のうちにこの記事を書きたかったのですが、
今になってしまいましたのには理由があります。
そのあたりの事情は第二番のソナタを紹介する記事にて、
そのうち弁解しますね(笑)



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本日紹介しました演奏は、
 ブラームス チェロ・ソナタ第1番
 チェロ ピエール・フルニエ
 ピアノ ルドルフ・フェルクス
でした。

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ジャンル : 音楽

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No title

秋にブラームスは、合いますね・・・。このソナタも、絶品です。拙ブログでも取り上げたことがあるのですが、学生時代に全楽章を学園祭で弾いたことがあります。3楽章の対位法的にピアノと絡むところ、それにコーダの音が飛ぶところなど、我ながらどうやって「誤魔化した」のだろうと思い出します。

この暗い情念の込められたソナタは、ブラームスの晩年の諦観とは異なり、憧憬の思いと挫折との葛藤が表現されているように思えます。

1楽章の再現部、主題が同調・同音で繰り返されるところが、美しいです。木漏れ日がきらきらと差し込むようなピアノのアルペジオに乗って、チェロが独り言をするかのように歌うのですよね・・・。

ブラームスの音楽には、天国的な美しさや、宇宙大の大きさはありませんが、この屈折した、地を這いながらも憧れ続ける思いが歌われており、それが聴く人(少なくとも私)を引きつけるのではないかと思います。堪えられません・・・。

フルニエの演奏は未聴でした。音源を入手してみたいと思います。マイベストは今のところ、シュタルケルとシェベックのduoです。シュタルケルの切れ味鋭いボーイングが、青春の彷徨の思いを歌って余りあります。

nuttycellist様

これを学園祭でとは素晴らしいですね!
聴いているだけでも、3楽章で力尽きそうです。

憧憬と葛藤。なるほど、それが私がこの曲に「秋」を感じる所以かもしれません。

>天国的な美しさや、宇宙大の大きさはありませんが

そのあたりが、私がかつてブラームスを「食わず嫌い」
していた理由のようです。

>屈折した、地を這いながらも憧れ続ける思い

私も、ブラームスの音楽には、理想や空想ではなく、生身の人を感じます。最近はそういうことに共感出来るようになってきました。

シュタルケルの録音も世評が高いですね。聴いてみたいと思います。切れ味鋭いブラームス・・・フルニエとはかなり趣が異なりそうです。
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プロフィール

ククーロ

Author:ククーロ
18歳のときに「チェロを弾こう!」と決め、28歳でようやく始めました(2009年2月)。練習の記録と好きな音楽の紹介をしています。よろしくお願いします。京都在住です。


◆ お気に入りCD ◆

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ショパン・チェロ曲集
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